©Megumi Okubo

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2014年5月11日日曜日

自宅改修という大義名分























じつは今、自宅をリノベーションしている。自宅とはいえ、少し前に、売り物をみつけ、見に行ってその晩に急きょ買ってしまったものだ。

「壊したい部分を壊すのに躊躇しなくて済む程度に、ほどよく使い古されていて、水回りや建物自体といった基幹部分に遜色のないもの。それを中古という理由で割安に買って、自分のしたいように手を入れる」ということ。それはかれこれ10年ほども思い描いていたことであり、もともとはフィンランドで不動産を買おうとしていたのだ。

ヘルシンキの不動産事情は2000年代の好景気とともに大きく変化した。都心の住宅価格は年々、高騰してどんな金利商品よりも良い投資として高利率を確保していたし、それを政府や行政が黙認していたのは賃貸物件の不足、既存の建物の状態改善という事情があったからのように思う。要は投資目的で住宅を購入した人たちが賃貸住宅として借家にすることで、賃貸住宅の供給が増えるし、入居者を確保するためにリノベーションが進むということだったのだ。

とくにヘルシンキ中心部の建物は、街並みも含めて保存されている建物がほとんどなので建て替えられることはほとんどない。その建てられた時代背景やスタイルなどを生かしつつ、現代人の生活に合うように改修、改装していくのだ。そうしてメンテナンスを重ねることで建物の寿命は延びるし、建物をきちんと人が使っていくことで街自体が活性化していくというものだ。

私はというと建築設計という職業柄、毎日のように素敵な材料をながめ、顧客のために最適な空間を作ることを考える。いろいろなアイディアの中には自分が欲しくなってしまうようなものもたくさんある。もともとフィンランド人は昔からその土地に生えている木を切って乾燥させて、自分で家を建ててしまうような人が多い。アパートメントの内装改修くらいは自分でやってしまうような人も多いし、全てでなくても解体だけとか、ペンキ塗りだけとか、自分でやってしまうのだ。私もそんな友人たちを設計からサポートしたり、時には作業着と軍手で手伝ったりしてきた。だから今回の自宅リノベーションはまずは設計して、解体くらいまでは、自分でやってしまおうかしらんと始めてみたのだ。

しかし楽しい。あれやこれやとやってみる。楽しい。ついついもう少し、これもそれもと自分でやりたくなってしまうのだ。








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